Vision Dialogue
変化の時代を、ともに越えていくために



現在、印刷業界を取り巻く環境は急速に変化しています。紙媒体離れ、少子高齢化、人手不足。私たちのグループも例外ではありません。しかし、この状況だからこそ見えてくる、私たちにしかできない未来があります。
今回は、グループの中核を担う三美印刷の山岡影光社長と、株式会社理想社を率いる江曽政英社長のお二人に、グループの現状とこれからについて語っていただきました。
つながりが、
次の
一手になる。
――現在、10社ほどが関わる「三美理想社第一資料印刷グループ」ですが、グループとして連携することでどのような変化を感じていらっしゃいますか?
江曽(理想社):
紙の市場は縮小傾向にありますが、印刷そのものの価値がなくなるわけではありません。むしろ「確実に届く手段」「記憶に残る情報」として、紙は今再評価され始めています。
ただ、それを各社が個別に担い続けるのは、現実的ではない時代です。社員の高齢化、設備投資、人材育成——どれをとっても一社単独で抱えるには大きな負担がある。そこで、共通の価値観を持った企業同士がつながることで、お互いの“穴”を埋め合いながら次のステージを目指せるのではないかと考えました。
山岡(三美印刷):
実際に提携してみて、経営判断のスピードは確実に上がりました。原材料の共同調達、人材の相互派遣、設備の相互利用など、実務面でのメリットは出てきました。
なかでも印象的だったのは、社員が他社の現場を経験することで、明らかに視野が広がったこと。「自分の会社しか知らない」のと「他にも同じ思いで頑張っている仲間がいる」と知るのでは、モチベーションも仕事への解像度もまったく違うなと実感しています。




――印刷業界は今、大きな変化の只中にあります。お二人はどのような課題と向き合っているとお感じですか?
山岡(三美印刷):
一番は「情報の多様化」にどう対応していくかですね。紙は一方通行のように思われがちですが、実はとても能動的なメディアだと思っています。
今は、ただ印刷物をつくるだけでは“選ばれない”時代です。紙ならではの「存在」「体験価値」をどう活かし、提案できるかが重要だと思います。私たちは「情報に魅力を与える」技術者でありたいと考えています。
江曽(理想社):
私は、業界全体がもっと“再定義”されなければいけないと感じています。印刷は、単なる出力業ではなく、情報の価値を高め、体験に変換する。情報加工業なんです。
そこに「DX化」や「自動化」、「物流までの一元化体制」を組み合わせていくことで、環境にも人にも優しい未来の形が見えてくると思うんです。
また、特殊印刷やパーソナライズド印刷、デジタルマーケティング支援など、付加価値の高いサービスへのニーズにも応えていく必要があると思います。

――では、今後のビジョンとメッセージをお願いします。
江曽(理想社):
一言でいえば「ゆるやかだけど、確かな連携」ですね。グループといっても、一社一社に文化があって、得意分野が違う。その個性を尊重しつつ、共通の目的に向かって歩けるような仕組みをつくっていきたいです。
将来的には、業界内で「こういう形なら印刷会社は生き残っていける」と思ってもらえるような、ひとつのモデルになれたらいいなと。それぞれの社員が、自分の仕事に誇りを持てる、そんな場にしたいですね。
山岡(三美印刷):
お客様から見れば、どこに頼んでも「安心できる」「相談できる」グループであることが大切だと思っています。これから新たに加わる企業の皆さんにも、ぜひその姿勢を共有してもらいたい。
それに、いくら統合しても、それぞれの会社の“色”は、そう簡単には消えないんですよ。むしろ、それを尊重して「One team, many talents.」の形にしていくのが、僕たちの目指すところです。

江曽(理想社):
この仕事は、派手ではないけれど、人の記憶や時間にちゃんと残るものを扱っています。
グループの力で、それをもっと自由に、もっと意味のある形にしていきたい。お客様の課題を解決し、社会の中で「紙にしかできない役割」を再確認してもらえるような仕事を続けていきたいですね。
山岡(三美印刷):
そうですね。そして何より、ここで働く人たちが“この仕事を選んでよかった”と思えるような場にしていきたい。僕らは一人ひとりの力を信じているし、それが一つになれば、どんな変化にもきっと立ち向かっていけるはずです。
